EPAとは「エイコサペンタエン酸」のことで、必須脂肪酸の1つです。また、EPAは不飽和脂肪酸に属しているオメガ3の脂質になります。EPAは体内で作り出すことができない成分なので、食事を通して体内に取り入れるしか方法がありません。EPAが人間にどのような影響を与えるのか、世界中の研究者が医学的な側面からも調査と研究を続けています。
EPAが世界で注目されるようになったのは、1960年代です。デンマークのダイアベルグ博士たちが行ったグリーンランドの疫学調査がきっかけとなっています。
グリーンランドに住むイヌイットは、気候の影響もあり野菜をほとんど食べることがなく、アザラシの肉が主食となっていました。イヌイットの人たちは偏った食生活に見えるのですが、他の欧米人よりも生き生きと生活していました。博士たちは「イヌイットの食事文化が健康に大きく影響しているのでは?」という仮説を立てて研究を進めてきました。
研究の結果、イヌイットの体内には欧米人と比較して豊富なEPAが取り込まれていることが分かりました。EPAはアザラシや青魚に多く含まれています。牛肉や豚肉から脂肪を摂取するのではなく、EPAが多く含まれた脂質が食文化に取り込まれていることで、イヌイットの人たちが活気ある生活を送ることができていたのです。
EPAは、健康的な生活を送ることにとても重要な成分です。例えば、高齢になっても外出を元気に楽しむことができるだとか、いつまでもおいしい食事をとることができるといったことにつながります。さらに健康的で楽しく活き活きできると言われており、過ごしやすい生活をEPAがサポートしてくれるかもしれません。
子供たちの食生活は昔と大きく変わり、EPAを取り込む機会は減少傾向にあります。大切な思春期に不足しているEPAを取り込むことができれば、食育としてもサポートが期待できます。
EPAとよく比較されるDHAも必須脂肪酸の1つですが、それぞれ違う特徴を持っています。ただどちらも体内で作られる成分ではないので、食事を通して取り入れるしかありません。
EPAは、脂ののった旬の魚に多く含まれています。いわし、サバ、さんまといった青魚やまぐろやぶりのトロの部分に多く含まれています。EPAを摂るために魚を食べるときは、刺身として食べることが効率的です。なぜなら、EPAは調理方法によって失われやすい成分だからです。焼き魚や煮魚として食べると約20%が失われてしまうと言われ、揚げ物ではなんと半減してしまうことまで言われています。とはいえ、刺身ばかりでは飽きてしまいますから、EPAのパワーを知った上でバランスが取れた献立の検討をしましょう。
厚生労働省の発表しているオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)の摂取量目安は、男性で1日に2.0~2.2g、女性で1日に1.6~2.0gとされています。昔と比べると、日本人の魚摂取量は減少傾向にあります。調理の手間がかかりますし、魚が苦手な人が増えてきているようです。普段の食生活で魚を摂取しにくい人は、EPAを含んだサプリメントも選択肢のひとつです。サプリメントであれば魚が苦手な人でも手軽に摂取できますし、時間や場所も選びません。また1日に必要な摂取量をバランスよく摂り続けることが可能になります。
EPAは健康をサポートしてくれる成分と言われているため、成人になってからも優先的に摂取したい成分です。EPAの働きを理解して、日々の摂取を継続することができれば、将来的な健康面でのサポートになるでしょう。